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| vol.01 年月を経て味わいを増す「ビンテージマンション」という考え方 |
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マンションにも年齢があると思う。
人間に幼少、子供、少年、青年、壮年、老年といったものがあるように。
例えば、新築のマンションは、生まれたばかりの赤ん坊のように、
食べたり飲んだりといった本能的な能力しか備わっていないようなもの。
みんながマンションでの新しい生活に、精一杯馴染もうとしている
初期段階だといえます。
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５年経つと、他人をいじめてはいけないなど、人間同士のルールを覚えるようになる。 つまり、マンション内での最低限のルールが住民間で決まるようになる。
１０年経つと、自分と社会との関わり方や自我が生まれるようになる。
マンション内で、住みやすくする為の工夫が生まれてくる。
２０年経つと、ようやく一人前として、周りからも認められるようになり、互いの人間を尊重できるようになる。
すなわち、同じ場所で暮らしてきたものとして、お互いの人格や生活を尊重できるようになる。
３０年経つと、自分のライフスタイルというものが、少し見えてくる。
自分が今、どのように暮らしたいのか、将来の自分はどうあるべきなのか。
４０年、５０年を経過しても・・・ その年代年代に応じた目標が見えてくるもの。
日本のマンション市場は、いびつなカタチで形成されている。 築１５年までのものが市場で評価され、
それ以上のものは評価されない傾向にある。
新しいモノが、理屈ぬきで評価されるのだ。
しかし、よく考えてみると、新しいモノを育てていくのは、大変なエネルギーを要するもの。
そして、エネルギーを費やしたからといって、一生涯無事に、 正しく育ってくれるかどうかは、
わからないものだ。
新築のマンションも同様で、良いコミュニティが形成され、住み良い環境が整うかどうかは未知数である。
だからこそ、すでにコミュニティが形成された、いい年の取り方をしたマンションには、人間同様、
それなりの価値があるはずだと思う。
長い年月を経て、相応の価値を備えたモノの中には、例えばビンテージワインやビンテージカーのように、
評価のステージが用意されているものもあるにはあるが、それすらまだ少数派だ。
建物やモノの加齢に対する考え方を改めない限り、 自分達人間をも否定しかねない思うのは、
私だけだろうか。 |
| text by メゾンドデッサン 代表 岸田浩二 |
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